あのトモ

- 本に出てくるあの娘ぼくがトモダチになろうっていったらどんな顔するんだろう -

銀河ヒッチハイク・ガイド - おバカSFの金字塔

DON’T PANIC !

私はエンジニアの端くれですが、この職業、知っておかなければならない知識 - 既存のものの理解という部分と最新情報のキャッチアップの両方 - が膨大にあり、私に限って言うと、しばしば「Ahhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhー!!」と叫びだしたくなります。そんな風にして困った時はまず、その悩み事の公式マニュアルに当たるのが手順ですが、その表紙にこんなふうに、

DON’T PANIC !

みたいに書かれていたら、なんか心強いんだと思います。あとは使い慣れたふわっふぁの優しいタオルさえあれば。…(いきなりタオルが出てくる理由は後述)

銀河ヒッチハイク・ガイド」は、ダグラス・アダムスによって書かれたラジオドラマの脚本をベースにしたシリーズ物の小説の第1作目です。グーグル検索で「生命、宇宙、そして万物についての究極の答え」と検索するとある数値が出てくるというジョークの元ネタはこの本です。本の後ろにあるあらすじはこんな感じです。

銀河バイパス建設のため、ある日突然、地球が消滅。どこをとっても平凡な英国人アーサー・デントは、最後の生き残りとなる。アーサーは、たまたま地球にいた宇宙人フォードと、宇宙でヒッチハイクするハメに。必要なのは、タオルと<ガイド>ーー。シュールでブラック、途方もなくばかばかしいSFコメディ大傑作!

「銀河バイパス建設のため、ある日突然、地球が消滅。」…って、軽っ!と突っ込みたくなりました、がおいといて… 「銀河ヒッチハイク・ガイド」は、日本における「地球の歩き方」の銀河版です。表紙に大きな文字で「DON’T PANIC !(パニクるな!)」と大事な教訓が掲げられた、謎多き銀河系を自由に旅するヒッチハイカーのための電子端末型のガイドブックです。銀河系という広すぎる規模に甘んじてその内容はかなりおおあじの、ばかばかしい内容に仕上がっています。タオルは、何一つ信じられるものがないつかみどころのない世界に一人放り込まれた時、人はひどくパニクりそうになるものですが、そんなときに機能する「単純でわかりやすい」「しっかりにぎりしめられる」頼りになるものです。確かにタオルって優しいし、しっかりしてるし、ベビーだった頃からのお友達だし、使えるし、タオル以外では考えられないです。ニヤけながらもなるほどなあと思ったものでした。 2005年には映画化もしています。映画オリジナルのエピソードも織り込まれ、おバカSFの傑作として仕上がっています。

わたしが一番好きだったのは、かなりマイナーなところではあると思うのですが、地球があっけなく消滅してしまった後、運良くヒッチハイクして乗り込んだ宇宙船ではじめにアーサーとフォードが会話をする場面です。

アーサーは恐る恐るマットレスをつついてみて、そろそろと自分も腰をおろした。だが、ほんとうは心配する必要などまずないのだ。というのも、スコーンシェラス星系惑星ゼータの沼地で育ったマットレスはすべて、かなり徹底的に息の根を止めて、乾燥させたのちに使用されるからである。生き返ることはめったにない。

いやそこの心配かよ!!って、ツッコまざるを得ないですね。スコーンシェラス星系がどこにあるかとか、マットレスって育つのかよとか、いろいろありますね。ちなみに映画版だと、映画版限定で登場する新興宗教「 The Great Green Arkleseizure religion(大いなる緑のアークレシージャー教)」の教祖、Humma Kavula(ハーマ・カヴーラ)が演説を垂れるシーンが最高に好きです。ご飯吹き出しました。

振り返ると、私がエンジニアになってからはまさにこんな世界に一人放り込まれた状態でした。

それまでパソコンといえばぽちぽちと操作をして、ウィンドウをだして、ボタンクリックしてエンター!くらいしか、それとオフィスソフトの操作くらいしかしてこなかった状態の私がなんとか、プログラミングする用のソフトを立ち上げて先輩に質問に行くと、先輩のエンジニアは何か黒い画面を出して、そこに表示されている文字を指しては(以降カッコ内私の心境です)「この人が(人!?…)がこの人へ値を渡す」とか「このデーモン(鬼?!…)が生きている間は」とか、結構宇宙人との会話状態でした。マットレスが生きているし、スコーンシェラス星系ゼータが存在する様な世界です。

この世間とエンジニアの言葉のギャップはこちらの記事

不思議の国のSE用語 - Qiita

に素晴らしくまとまっています。

こういったおバカコメディは仕事で凝り固まってしまった頭を癒す効果と、何が起きてもおかしくないプログラミングの世界に適応するための装置としての効果があると思いました。

エンジニアの方にはもちろん、いきなりやったこともない様な不条理な要求をあてつけられそうな日常を過ごす全ての方へ、これほどばかばかしくて、明るい不条理適応装置はないですよ。おすすめです。