あのトモ

- 本に出てくるあの娘ぼくがトモダチになろうっていったらどんな顔するんだろう -

ゴーレム100(ゴーレム100乗) - 紙面を通したトリップ体験

ゴーレム 100 (未来の文学)

ゴーレム 100 (未来の文学)

読んでしまいました。「ヤバい」ともっぱらの噂で、ずっと気になっていて、名前だけは知っていたあの娘的な一冊。

一言でいうと「ヤバかった」です。

なお、ゴーレム100の100は指数です。

あらすじ(Amazonの詳細より)

22世紀のある巨大都市で、突如理解不能で残虐な連続殺人事件が発生した。犯人は、8人の上品な蜜蜂レディたちが退屈まぎれに執り行った儀式で召喚した謎の悪魔ゴーレム100。事件の鍵を握るのは才気溢れる有能な科学者ブレイズ・シマ、事件を追うのは美貌の黒人で精神工学者グレッチェン・ナン、そして敏腕警察官インドゥニ。ゴーレム100をめぐり、3人は集合的無意識の核とそのまた向こうを抜け、めくるめく激越なる現実世界とサブリミナルな世界に突入、自分の魂と人類の生存をかけて闘いを挑む。

… 激越なるって表現ヤバい。初めて聞いたけど激越感がヤバいなあ。

読後は文章のテンションの高さに引きづられてすこしおバカになります。

あとやたら書評やあらすじ説明に「通俗的」とありますが、ようはグロかったりお下劣な表現が散りばめられておりますので耐性のない方はご注意を。

「ヤバかった」ポイントは大きくふたつ。

  • キャラがヤバい
  • 紙面を通じたトリップ体験がヤバい

これらにおされて多少の無理な設定が気にならなくなる作品でした。勢いがすごいです。

キャラクターがヤバい

一人一人アメコミタッチ、あるいは荒木飛呂彦タッチで描かれたら雰囲気とよく合いそうです。視覚的にイメージが湧きやすかったです。

蜜蜂レディ

まるでスパイスガールズを彷彿させる、8人からなる有閑レディのグループで全ての元凶です。性悪の美魔女グループです。

グループのリーダー、リジャイナが女王蜂と呼ばれている以外に特に蜜蜂要素はないような気もしますが、ネーミングのインパクトがいいですね。

「蜜蜂レディ」って!…アメコミ的なノリの悪役レディーズ集団ちっくな匂いがプンプンします。(でも蜜蜂っていうとちょっと可愛げも残りますね)

彼女たちもガフと呼ばれる東海岸のスラムに住んでいるのですが、例外的に超金持ちで暇を持て余しまくっています。その暇つぶしに★悪魔でも召喚してみましょうよ★という流れになったのでした。

  • リジャイナ … 威厳に満ち気品あふれるリーダー、マダム
  • ル・グウィン … 燃えるような赤毛、乳白色の肌、豊満な胸の娼婦
  • イエンタ・カリエンタ … 長身、黒髪、りりしく男っぽいレズビアン
  • サラ・ハートバーン … 青い目を鋭く光らせる女優(志望)、喋り方★が★こんな★風にいちいちくどい
  • ジェダイとアジェダイ … ピチピチのギリシャ人奴隷のような双子(どゆこと?美女のステレオタイプでそんなのがあるのかしら)
  • メアリ・ミックスアップ … 金髪のダンサー(もどき)、頭よくなりたいおばかさん
  • プリス嬢 … 『鏡の国のアリス』に描いたアリスにそっくりなロリ担当、したったらず

★このレディーズだけでスピンオフ作品できそうです★

カリスマ日系(好色)調香師、ブレイズ・シマ

フランスと日本のハーフです。

物語の世界、近未来のアメリカ東海岸では水が非常に貴重なもので容易に使えないため、街の汚物は洗浄されることなく蓄積し、ひどい悪臭を放っています。そこで香水産業が一大産業として成り上がったのでした。

シマ博士は、中でも最も成功した企業であるCCC社の専属カリスマ調香師です。彼の調合した香水はどれもビッグヒットするのでした。(ただし香水のネーミングセンスがアレです)

空手の達人のような引き締まった体をしているおそらくイケメンだと思われ、自持ちの超高級ペントハウスに美女を囲い込んでいます。

天才的な嗅覚と高等教育機関で培った分析力を武器に頭脳派のアプローチでゴーレムの謎に迫りますが、意外と窮地に弱いのが玉に瑕です。

いや本当に玉に瑕です←読んだ人は察せるかも…

“新人類"ブラックビューティー、グレッチェン・ナン

相手の五感を通してものを感じるというスーパー特殊能力を持つ呪術師です。ツチ族の王女で、すごい美女の模様です。(黒人の美女って個人的に特に美しいと思ってしまうので、わたしは文面から魅了されまくってました… …)

シマ博士とペアを組んでゴーレムの謎に迫ります。日系イケメン調香師とすごい黒人美女のペアとか映画かよって感じでした。

紙面を通したトリップ体験がヤバい

なんといってもメインキャラクターたちが ラリっている場面の視覚的イメージ が衝撃的です。

ゴーレムの謎に迫る過程でヤクを打ってトリップせねばならないのですが、そのトリップ最中に見えているイメージが、 不気味な抽象画 で数ページにも渡って展開されます。挿絵メインで申し訳程度の文字があるページが数ページ続くイメージです。

脳みそが捩れるような感覚になります。え!?なに?となります。

同じ作者による小説、「虎よ!虎よ!」でも同様の手法は用いられていましたが、そのあとに書かれた本作はさらにトリップ感が強化されております。

海外の芸術家が各種ドラッグを試した後でイラストを描き、ドラッグの種類によって微妙にタッチに差が出るよっていう実験をやっていたという記事を思い出しました。本作のイラストもそのコレクションに入っても全く差し支えのない不気味さでした。…

トリップしていた間、現実世界で何が起きていたかの答え合わせもありました。え、そうなるんかよってなりました。

ちょっと他じゃ体験できない小説です。耐性がありそうな人は味見程度にパラパラめくってみると面白いと思います。ヤバかった。