あのトモ

- 本に出てくるあの娘ぼくがトモダチになろうっていったらどんな顔するんだろう -

一茶俳句集 - すごい共感できちゃうかわいいおっさんの句集

一茶俳句集 (岩波文庫)

一茶俳句集 (岩波文庫)

教科書で習った小林一茶。様々な俳人の句に触れてきた中でもなんか彼の句が好きです。

雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る

代表作です。能天気っぽいテンションなのと、雀の子に対しての温かい目線が大好きです。

満を辞して古本屋で「一茶俳句集」黄色い岩波文庫を手に入れてきました。 文庫表紙にプリントされた一茶のご尊顔に癒されます。 一茶の門人で、師匠の肖像画の絵をほとんど手がけた人物の筆によるものだそうです。ファン画ですね。 村松春甫(むらまつ しゅんぽ)とは - コトバンク

一茶は2万程の句を残したそうで、本書にはそのうち2千句が収められています。

とりあえず無心でご飯食べながら、歯を磨きながら、爪を切りながら、ぼーっとしながら、さーーーーっと眺め通しました。

句集を見る時の正しい心構えが知りたいものです。 一句一句は非常に短いので(5・7・5)サッ…情景がうかんでは、ハイ次〜となってしまうので、わたしとしては、句集は一ページに一句とかで丁度見やすいのではないかと思ってしまいました。そんなじゃ2千句も文庫一冊ではおさらないでしょうけど。

やっぱりどこかのほほんとしつつも、卑屈なテンションで共感をうむ作風。

そうおもいました。

木々おのおの 名乗り出でたる 木の芽哉

私と同い年、27歳の時の作品です。木の芽の可愛らしさにちょうど一茶と同じタイミングで気づけた自分的にはシンパシーでした。木の芽が名乗り出でたるなんて表現、木の芽に愛おしさを持って接しないと出てこないものです。確かに冬芽なんか、それこそ個性のない冬枝から、各々地味に主張のある形をして名乗りでて、その後は一気に派手にぽんと葉や蕾をつけたりするんだから。そうですよなあ。

そうそう、本作、句とそれが読まれた一茶の年齢が添えてあり、さらには巻末に上の句のインデックスがついているのが非常によいです。便利です。

全体的に自分の身の回りの(あたりまえか)様子、とくに四季折々の自然風景の様子を素直に率直に読んでいます。 上の句のインデックスを見ていると「木枯らし」「陽炎」「初雪」「春雨」などのワードがよく使われているのが分かります。

小さき生き物たち「ほたる」「ホトトギス」「蚊」「蛙」「蝶」などよく出てきました。いっぱい身近にいたのかもしれません。 小さいものが好きだったのかもしれません。それぞれについて、愛情たっぷりな目線が伝わってきます。 一茶の目を通して見るそれらは何割か増しで「かわいい」んですよね。kawaiiをおさえている。

艸蔭に ぶつくさぬかす 蛙哉

朝やけが よろこばしいか 蝸牛

石仏 誰が持たせし 艸の花

水鳥よ ぷいぷい何が 気に入らぬ

鼻先に 飯粒つけて 猫の恋

留主にするぞ 恋して 遊べ 菴の蠅

瘦蛙 まけるな一茶 是に有

卑屈な中に潜むユーモアもいいです。

年よりや 月を見るにも ナムアミダ

かと思えば、時系列で流れて行く句の変遷を見ると、ガチでダウナーだった時期も(そりゃ)あったみたいで、まるわかりです。

蝶とぶや 此世に 望みないやうに

月花や 四十九年の むだ歩き

炉を明けて 見てもつまらぬ 独り哉

ひとをポエマーにする代表選手、「月」もたくさん読まれていますが、一茶の手にかかるとこんなに身近で親しみやすい作品となります。

名月や 寝ながらおがむ 体たらく

婆婆どのが 酒呑に行く 月よ哉

このへんとかただのおっさんの独り言です。現代にも非常に通じる感覚ですね。

我菴は 昼過ぎからが 元日ぞ

屁くらべが 又始まるぞ 冬篭

そして私の最も好きで、プッとわらってしまったなんか、可愛らしい句はこちらでした。

納豆の 糸引張て 遊びけり

いや、納豆であそぶなよ!!!

俳句って、それでいいのかって。一茶レベルで有名な人がこんな脱力な作品を残していることに脱力しました。ゆるい。癒し効果がある!

一茶は個人的にすごい共感できちゃうかわいいおっさんでした。(だいすき)

大器晩成型の俳人で、40歳超えてからの作品が文庫の中でも7割とか超えてるんじゃないでしょうか。

若い頃はちょろっと青春の苦みや甘みみたいなエッセンスを作品に感じますが、年取ってからの色恋沙汰から一線をしいた、小さきものへの愛情の句や、おっさんのつぶやきみたいなやつの方が「一茶らしい」感じがします。そっちの方が有名になっているわけですしね。

当時にしては大変長生きをした人物だそうです。晩年になって若い妻を娶り、子をもうけましたが、子は早死にしてしまったようです。

藤沢周平「一茶」、読みたくなりました。映画にもなって公開予定のようですし必読ですわこれは。

リリー・フランキーが小林一茶役、藤沢周平原作の映画『一茶』 - 映画・映像ニュース : CINRA.NET