あのトモ

- 本に出てくるあの娘ぼくがトモダチになろうっていったらどんな顔するんだろう -

冒頭に語りのあるプレイリスト 1

番外編です。

リズミカルな文脈の中で「語り」は、際立った存在感を放ちます。

文芸作品、音楽で、冒頭に「語り」のあるものをあげてみたくなりました。

思いついたら都度、足してゆきたいので第一弾ですが、なぜか「暗め」「渋め」となりました。

そういう趣味嗜好がここで現れてしまいましたね。… まいっか。

ではいきます。

ドグラ・マグラ | 夢野久作

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

夢野久作 ドグラ・マグラ

 巻頭歌

胎児よ

胎児よ

何故躍る

母親の心がわかって

おそろしいのか

みなさんご存知、大好き ドグラ・マグラ

正確には「語り」ではないですが、不気味な歌から始まります。このようにされると読者は、導入から、作品の雰囲気に一気に心を持ってかれます。

ここからのー …

 …………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。

はい、有名な冒頭のシーン。わたしは夢野久作の、このような自由に踊るようなカタカナの使い方が大好きです。

ドグラ・マグラは、冒頭歌から始まる他にも、入れ子構造で劇中劇ともいう形で論文が紹介されるなど、かなり実験的な小説です。キワモノ感が強くてとっつきにくいかもしれませんが、日本三大奇書に入る著名な作品というのと、青空文庫でも無料で読めること、それとなによりも時に仰々しく、時にあざとい不思議なカタカナの使い方を見てやろうか、というモチベで挑める作品です。

Toumast Tincha | Tiraniwen

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元祖 “砂漠のブルース” こと、Tiraniwen

サハラ砂漠遊牧民の部族のひとつ、トゥアレグ族のバンドです。ひらけた褐色の砂地を背に、白や黄色、青色の民族衣装をまとい、グルーヴィな演奏を淡々とする様はただ、ただ、渋く、格好いいです。

この冒頭の語りはなんだ。低すぎるし、近すぎるし、はたして人間の声か。なんて言っているのか一単語もわかりません。

しかし、この音楽のドラマ性を前に細かい意味はすっ飛ばすことができます。

地平線と平行に走る目線が意識され、延々と荒野が続いてゆく動画には、旅情が掻き立てられます。

夜へ急ぐ人 | ちあきなおみ

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埋め込み画像のインパクトが。…

妹にこの曲を教えたらなぜか、とても気に入ってもらえたようで、やはり姉妹は謎のツボが同じだなあと思いました。

なんの怨念が込められているのでしょうか。最後まで大迫力の唯一無二の楽曲です。

私自身 | いしだあゆみ

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枯れた女性の語り口、で関連して思い出したのがこちら。

ティン・パン・アレーのアレンジが非常に軽く・明るくポップですが、いしだあゆみの声のトーンが落ち着き払っていて、そのギャップがおもしろいです。

過度な希望も、卑屈さも不安もない、ちょうどニュートラルな語りって、こんなんかしら、と思わせられました。平熱なかんじ。

このアルバム好きなんです。

聖書 | 岡村靖幸

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最後、オチとしての岡村ちゃんです。岡村ちゃんの「語り」シリーズは、べいべ(ファンのことです)なら容易にリストアップすることができるほど、ネタに尽きません。今回は私が一番好きな聖書を貼りました。

貼った動画は single 版と言いまして、聖書 という曲のうち、最もハイテンポで都会仕様なアレンジのもので、問題の「語り」はありません。普通にベースはバッキバキ、岡村ちゃんの動きはキレッキレで、文句のつけようがなく、面白格好いいです。本当はニコ動に上がっている、JustPopUp から転載した聖書 single 版の動画がマジ格好いいので、ぜひ、そちらも見ていただきたい。

で、問題の「語り」は通常のアルバム版のほかに、youtube では及川光博、ことミッチー版の「聖書」 で聞くことができます。

ねえ 君は僕の事好きだって言うけどさ どうして?

からはじまり、以降、ちょっと容易にタイプしたくないほど、岡村ちゃんやミッチーの世界観でしか口に出せないような内容の「語り」です。(詳しくは歌詞検索し、自己責任で確認してください)

この「語り」は、あった方がいいかどうか、正直 single 版がめちゃめちゃ好きな私には判断がつきません。でも岡村ちゃんやミッチーが全力でやる「語り」は、そのキャラをおもしろがって演じてる感じが伝わってきます。こんな楽曲やはり、唯一無二です。


まとめ

異色な番外編は Tiraniwen を聴いていて突然思い立ちました。また集めようと思いました。

文芸作品はそういう視点で見てなかったので、これから見つかるのが楽しみです。

「語り」が入ると、作者の、若干恥を捨てたその先にある本気さがむき出しになる感じがして、いいのかもしれません。