あのトモ

- 本に出てくるあの娘ぼくがトモダチになろうっていったらどんな顔するんだろう -

こちらあみ子 - 応答せよ、こちら読者です

こちらあみ子 (ちくま文庫)

こちらあみ子 (ちくま文庫)

「あひる」「星の子」と昨年からまた活発に作品が出ていて、その度に話題になっている、ものすごい作家のデビュー作です。

こんなお話

あみ子の初恋と、あみ子の家族関係が、他でもないあみ子によって崩壊させられる話。

あみ子目線で語られるので初めは分からないのですが、徐々に、あみ子は、クラスに1人2人はいた、あの落ち着きのなく、話のテンポが違う子どもだって分かります。

この語り手のスタイルは、さながらアルジャーノンに花束をのようです。

あみ子は他人の気持ちを想像する能力が乏しい為に、初恋の相手で優等生の、のり君をブチギレさせてしまい、また、母親を鬱病にさせ、兄をヤンキー化させてしまいます。

それでも、あみ子は元気です。大好きなおもちゃのトランシーバに向かい、こちらあみ子 応答せよ って、応えを待ってます。

優しさの限界

あみ子は、周りからは腫れ物に触るように扱われ、そのうちやんわりとそのコミュニティ、クラスだったり、家族だったりから排除されます。一巡目読んだときは、見たくないものを見てしまった気持ちになりました。

しかし二巡目読んでみると、これが不思議と、あみ子の周りにいる人々の持つ優しさが、浮き彫りになって見えてきたんです。

この時みえた優しさ、っていうのはもしかすると、あみ子を低くみたり、虐げてみる基盤があるから際立つ、相対的な優しさかもしれません。それでも、多少なり優しさが成り立ちうるところが救いでした。

もっとも、文中では概ね、あみ子は優しく扱われない場合、つまり存在を無視されたり、静かに除けられたりすることが殆どなんですけどね。その対比としてのたまにの優しさ。冷たいようでいて、結局これが人間のリアルでしょう。

傍目には痛々しくも、それでもなお、まっすぐ動じず在るあみ子は逞しすぎる。 …

応答を考えてみた

ハイ、こちら読者です

ハイ、こちら読者です。聴こえてますか?

あんた誰? って、そうそうのり君じゃない。

お兄ちゃんでも、弟でも、妹でもないよ。

でもいいじゃん、ちょっとお話ししよう。

ベランダからおばけがいなくなってよかったね。

あみちゃんさ、前の学校で同じクラスの、野球部にいた、◯◯くんって知ってる?のり君の習字を教えてくれたひと。

その人と話ししたときのこと、大切にして欲しいんだ。わかるかな。

あとね

なんか思いついたら、いったん、まわりの人に、それをどう思うか聞いてみるのがいいと思うよ。

そうすればなぐられたり、涙を流されたり、怒鳴られたりすることは減ると思う。

かならずだよ、またね。