あのトモ

- 本に出てくるあの娘ぼくがトモダチになろうっていったらどんな顔するんだろう -

ソラリス - 人間の理屈の枠組みを超えたもの、を前にして

はじめての、スタニスワフ・レム

ソラリスモノリスの親戚かなんか? 程度にしか捉えていなかった状態で読みました。

60年代に書かれ、なお色褪せることのない、異質な存在とのファーストコンタクトものです。

ちなみに、ソラリスモノリスは名前が似ているだけで関係なさそうです。

あらすじ

ソラリスは、二つの太陽を持ち、その地表の殆どを粘性のある「海」に覆い尽くされた惑星。「海」は実のところ正体不明ですが唯一、それが自立した、知的な生物的特性を持ったものだというのは明らかになっていました。あるグループなんかはソラリスの「海」を一個の生物とする見方をしていました。

地球の科学者たちはこの不思議な「海」を持つ惑星の謎に迫るべく「ソラリス学」領域の分野を設けます。ソラリスそのものにも宇宙ステーションを作り、物理、機械工学など、各方面からソラリスに迫る専門家を配置し、研究を続けていました。

心理学者ケルヴィンもそんな研究者の一人として、ソラリス宇宙ステーションに派遣されます。

ケルヴィンはソラリスに着くや否や、ステーション内の様子がおかしいことに気づきました。誰も、人間はおろかロボットすら見当たらないし、ひどく混乱して散らかっている様子です。しばらくしてやっと生きている人間、サイバネティクス学者のスナウトを見つけました、彼はひどくやつれ、怯えた様子でこう言いました。

「行動に際しては 、なんというかな … …どんなことがあっても取り乱すな 。そんなことできるわけがないとは 、わかっている 。でも 、試みるんだ 。これが唯一の助言だよ 。これ以外には何も言えない 」

どうやらステーション内には、ケルヴィンの把握していた三人の科学者の他に、誰かがいるような様子です。

前半はハラハラドキドキ。船内を荒らした犯人の謎解きと、ホラー的な演出のある内容で、中盤から後半にかけてはラブストーリーと哲学的考察が入り乱れる内容になっており、ひとくちに括れない作品でした。

前半がかなり怖かったなあ…

第三者の正体

ここでそれを明かすことはしませんか、一つ言うならその正体についての意外性はさほどなかったものの、その正体の「在り方」については、よくそんな設定思い付いたなあと感心するものでした。

「かれ」がその場にいる動機、不可解な行動の根拠、他の人物達との関わり方を描く視点が、独特でした。「かれ」」は初めは怖かったのに、いつのまにか哀れな存在に思えていました。

わたしに置き換えると、この「かれ」に当たる人物は誰だろうか、なんて想像をしてみました。人間である以上、誰でも一人は思い当たる、そんな存在が第三者の正体です。

科学者と海

いざ 、別世界へ !でも 、それでは別世界というのはいったい何だろう ?征服するか 、征服されるか 。人間たちの不幸な頭脳には 、それ以外のことはなかった 。

各方面から科学者達はソラリスの生態に迫りますが、「ソラリス学」の歴史を鑑みても、さほど明らかには出来ていないのではないか、と内省する場面がいくつかありました。

人間は人間のやり方で、人間の理屈の枠組みの中で説明できる根拠を求めて、研究を行ってきました。

しかしあとがきでレムが述べているようにもし、人間の理屈の枠組みを明らかに超えたものと対峙することになった時、われわれはどう行動できるのかは少し考えてみる必要がありそうです。

この作品はまさにレム流に、そのシチュエーションを描いたものでした。